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樹木(植物)がフィトンチッドを作る理由は何でしょう?

 それでは、樹木は何のためにフィトンチッドを作りだすのでしょうか?
 樹木が光合成を行うことは、皆さんよくご存じだと思います。樹木が生きていくために必要な活動で、人間が食事を取ることと同じです。光合成は太陽の光エネルギーを利用して、炭酸ガスと水から炭水化物を作り酸素を放出します。さらに樹木は二次的にフィトンチッドなどの成分を作りだすのです。
 このフィトンチッドには、作りだした樹木自身を護るさまざまな働きがあります。他の植物への成長阻害作用、昆虫や動物に葉や幹を食べられないための摂食阻害作用、昆虫や微生物を忌避、誘因したり、病害菌に感染しないように殺虫、殺菌を行ったりと実に多彩です。
 土に根ざして生きる樹木は移動することができません。そのため外敵からの攻撃や刺激を受けても避難できませんから、フィトンチッドを作りだし、それを発散することで自らの身を護るわけです。1930年頃、旧ソ連のB.P.トーキン博士は、この植物の不思議な力を発見し、フィトン(植物が)チッド(殺す)と名づけました。